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クルエルティフリーとは

クルエルティフリーとは、直訳すると「残虐性(cruelty)がない(free)」という意味です。
“(化粧品や消費財において)製造や開発の過程で、動物に残虐な手段がとられていないもの”と定義されています。
ここでいう「残虐な手段」とは動物実験のことを指しています。
人間社会から動物の命を守る手段として「お肉を食べない」「革製品を持たない」などいろいろな選択肢がありますよね。
牛肉のステーキやミンクの毛皮コートのように、目の前にわかりやすく可視化されていない犠牲があります。それが動物実験です。

1.動物実験はなぜ必要なの?

医療技術、薬品、化粧品や食品添加物の他に、あらゆる物質の安全性や有効性、操作の危険性を研究するために実施されるのが動物実験です。いきなり人体実験(臨床試験)に進むわけにはいかないので、事前に科学的知見を収集するために動物実験が行われます。
「人間と動物の命の価値に優劣があるのか」という倫理的な問いに安易な答えは出せませんが、少なくとも医療シーンで秤(はかり)に掛けるのは〝命〟と〝命〟です。医療の発展や新薬の開発のための動物実験は賛否両論あり難しい問題かと思います。
ですがここで取上げる美容シーンで秤にかけるのは〝美の追求〟で、これは命と比べるにはあまりにも軽いです。ほうれい線予防クリームの為に無数の命が犠牲になっていいはずがありませんよね。
そもそも一般的な化粧品に幅広く使われる成分の多くはすでに人体への安全性が確認されており厚生労働省が公表している「使用OKな成分」「使用NGな成分」から逸脱しない限り動物実験の必要はないとされているのです。

薬機法が変わった今も、動物実験が義務づけられている条件がある
動物実験を行うには、自社で動物実験ができるラボを持つか外部の研究機関に委託するかをしますが、どちらを選んでも企業は莫大な費用と時間を投入しなければいけません。それをしなくていいと法律が変わってくれたのになぜ動物実験はなくならないのでしょう?その理由は2つあります。

1. 厚生労働省の「化粧品基準リスト」にない成分の追加を申請する場合
2. 新しい薬効成分を配合した医薬部外品を販売する場合

上記2シーンでは、今も例外的に動物実験が義務づけられています。
保湿や鎮静などのシンプルベーシックなスキンケアではなく、美白やアンチエイジングを謳った機能性化粧品に該当する場合が多いです。
発売までの研究や治験に費用がかかっている分、1本数万円など高額な商品が多いのも特徴。成分が希少だから、ものがいいから高いだけではなく、動物実験にかかったコストもわれわれ消費者が負担しているのです。化粧品やスキンケアが好きな方なら「アレとかアレとかたぶんそうかな…。」と、いくつか商品が頭に浮かんでいると思います。もしかするとすでにお使いかもしれません。自分へのご褒美に奮発したのに。憧れのユーチューバーが絶賛してたのに。あのクリームにそんな暗黒面があったなんて…
また、法で動物実験が求められなくなったということはいわばすべてが企業責任ということです。自社の商品が消費者に被害をあたえた際は、対象商品を全面回収するなど莫大な損害が出ますし、ブランドイメージも暴落します。それらを未然に防ぐ為の投資として自主的に動物実験を徹底する企業もありますので、法以外の問題もまだ残っているといえます。

やるせないことに、人間と小動物では体の構造や代謝機能などに大きな差があり、薬物に対する反応は違って当然で、動物実験によって集められたデータは必ずしも信憑性があるとはいえないのです。

2.「残虐的な」が思っているより残虐的な件。

お化粧品の動物実験と聞いて、具体的にどのようなことをイメージしますか?
わんちゃんのお顔に美容パックをしたり、ねこちゃんの唇に口紅を塗ったりして、効果はあるか肌荒れは起きないかと繰り返し検査をする。
実験が終わったら「よしよし今日もよく頑張ったね」と、ねぎらいのごはんとオモチャでにゃっほ〜い♪

「まぁ動物的には迷惑な話かもしれないけど、めちゃくちゃ可哀想ってほどでもなくない?」くらいの、若干ファンシーで画的に癒されるような実験を想像しませんでしたか?
実状はどうかといえば、たいへん非人道的で見るに耐えない実験が行われているんです。
衝撃的でショックを受ける方も多いと思いますが、企業が薬機申請時に行う代表的な動物実験を、いくつか画像も交えてご紹介します。

・眼刺激性試験

動物実験 イメージ画像

ウサギの片方の目に(例えばシャンプーの原料など)試験物質を注入し、注入していない方の目との違いを比較観察します。
ウサギには人間のように涙管がなく、異物が目に入っても涙を流すことがありません。まぶたはクリップで固定され、注入された試験物質は長時間目の表面に滞在します。写真のウサギは目から膿が出ています。

動物実験 イメージ画像

実験中に目をこすらないよう拘束器に入れられ、3~4日間にわたり経過観察されます。
あまりの痛みに大暴れし首の骨を折って死んでしまうこともあるそう。

・皮膚刺激性試験

毛を剃ったウサギやモルモットの皮膚(場合によってはわざと傷を付けた皮膚)に試験物質を塗布し、刺激や腐食の程度を観察します。数日で済む実験もあれば数週間にわたる実験もあり、長期間化学物質を塗られた皮膚は骨が見えるほどただれることもあるそう。

・経口投与毒性試験

事前に絶食させたマウスやラットの口に、試験物質を強制的に投与します。
口紅など、使用すれば少なからず体内接種される製品の原料の安全性を確認する目的です。

動物実験 イメージ画像

どの実験もおぞましく、もし自分にされたなら…と考えると「いっそひと思いに殺してよーーーー!!!」と発狂しそうになりませんか?
ちなみに、実験に利用されるのはウサギ・モルモット・マウス・ラットといった動物が多く、中でもウサギが最も多いそうです。(関連する団体や認証マークにウサギのマークが多いのはその為)
ウサギが一番利用される理由として、鳴かないのでうるさくない、痛みにおとなしいので扱いやすい、繁殖率が高くコストが安いからだそうです。
実験が終わった後の動物達は、実験前のような健康体に戻る事はないので廃棄処分されます。
写真は載せませんが、血や膿を流して死んでいる動物がゴミ袋いっぱいに詰まっている画はなんとも言えないです。

3.世界における動物実験禁止の動きと日本の現状

クルエルティフリーという言葉がはじめに生まれた場所はイギリスで、1959年にはBWC(ビューティー ウィズアウト クルエルティー)基金が設立されています。それ以降も動物実験の廃絶に向けてEU(欧州連合)が常に世界を牽引してきました。
2018年には「すべての化粧品の動物実験およびEU域外で動物実験された製品の販売禁止」となり、それに各国が続いている世界の流れがあります。化粧品に動物実験を利用していることを知った消費者が、撤廃を求める運動を根気づよく続けてきた成果です。

かたや日本では、動物実験について知らない、とくに意識していないという人がほとんどという実状。
インドでは全面的に動物実験を禁止、ベトナムでは国立の研究機関で代替法の研究を開始、おとなり韓国でも動物実験に対する法規制が進められています。日本は世界どころかアジアの中でも遅れをとっている印象です。
EUをはじめとした主要各国で「クルエルティーフリーでない原料や化粧品販売の禁止」が国際協定の主流となっている今、日本も変わらないままいられるはずがありません。
今、わたしに何が出来るのか。そう1人1人が気付いたとき、まずは動物実験をしていないメーカーの商品を選びましょう。消費は投票です。それは小さなアクションに見えてはじめの大きな一歩になります。

4.サイトの役割と使命

クルエルティフリーコスメを選びたいと思ったとき、そういったコスメブランドを見定めるのは思ったより難しいです。
それはどのブランドも「我が社は動物実験をしていまぁす!」と声高らかにPRしたりはしないからです。

「当社は20XX年より動物実験を廃止致しました。」※ただし一部の国での販売においては例外とする。
「当社は一切動物実験を行っておりません。」※ただし必要に応じて外部に委託する事はございます。

というように条件つきのブランドは多いです。そしてその注釈は巧妙にわかりづらく隠されています。
また先ほどの項目で記述したように、日本でのクルエルティフリーというコンセプトの浸透率は低く消費者の注目度も低いです。そのため国産ブランドの情報は限りなく少なく、調べても出てこないブランドの方が多いくらい。海外コスメも好きだけど、日本産のコスメだって使いたいのに…。
調べてもわからない時は直接ブランドに問い合わせるのがベストですが、沢山のブランドから比較検討したい場合いち個人がすべてのブランドを調べあげるのは苦労ですし、残念ながら問い合わせに対し真摯に返信をしてくださるメーカーもまた少ないのです。
微力ですが、主に国産ブランドに力を入れて調査し、クルエルティフリーコスメを探している方の為に役立つサイトにしていきたいと思います。

5.サイト名の由来(余談)

サイト名、My Little Mimi(マイリトルミミ)の〝ミミ〟は私が子供の頃に飼っていたウサギの名前です。
どうしてもペットを飼いたくて、さすがに犬は許してもらえないだろうと踏んでウサギをおねだりしました。
超絶しつこくおねだりした結果、近くのホームセンターで買ってもらうことに成功。
そのウサギは片目周辺の毛だけ黒く、万人受けするビジュアルではなかったせいかペットショップの片隅でかなり大きく育っており、もう大人のウサギでした。大人になってから人の家に迎え入れられたミミはもう人に懐くことはなく、撫でたり抱っこすることも出来なかったです。(写真は唯一残せた奇跡の一枚。)
たぶんミミちゃん的には飼い主を飼い主と認識した事は一度もなく、最期まで人間は大きく恐ろしい謎の生物だったと思います。人が近づくと逃げましたし、撫でようと手を近づけると震えました。ミミちゃんを思い出すといつも、かわいそうな一生にしてしまったなと罪の意識を感じます。
そもそもウサギという生き物は人のペットとして生きるに適した動物ではないように思います。音や光に敏感ですし、巣穴で集団生活をする動物をたった1匹でケージの中に閉じ込めてしまった。
もうミミに償うことは出来ないから、せめてかわいそうなウサギが増えないよう私に出来ることをしたいなとずっと思っています。
ミミという存在が私の中で唯一無二であるように、ペットを飼っている人にとってその子は代えの効かない存在ですよね。
My Little X…
実験に使われる動物はその大切な家族と同じ命です。名も知れぬウサギ、イヌ、ネコではなく、あなたの〝ペロ〟〝クッキー〟〝モモ〟だと想像してください。

6.さいごに

あなたは動物実験について賛成ですか?反対ですか?
答えがどちらであったとしても、私たちの手元に完成された化粧品が届くまでには残酷な動物実験がなされていて、動物たちの命の恩恵がある事実を知った上で決めることが大切です。
お肉を食べるという食の選択において「まさかこの選択が動物の命を奪っていたなんて…」と驚愕する人はいないと思いますが、私たちを美しくする化粧品や生活にかかせない衛生用品が多くの命を奪っている実状を知らない人はたくさんいます。
多くの消費者は「流行っているから」「パッケージがカワイイから」「評判がいいから」「高価なブランドだから」というような理由で商品を選びます。今後はその選定指標のひとつにそのプロダクトが人だけでなく動物にもやさしいかどうかも追加してほしいと願います。
それはきっと、うわべだけじゃない、本当の美しさに変わると思うから。

2020.10 マイリトルミミ代表 naoco