保護犬 保護猫を迎えるということ。

動物愛護/crueltyfree

私は現在、犬1ワン猫3ニャンと暮らしております。
愛犬は元保護犬で、愛猫3ニャンのうち2ニャンも元保護猫です。

最近SNSを眺めていると、保護犬保護猫の情報を発信されている団体さんや個人の方がとても増えたことを感じます。

特に猫の場合は「完全室内飼い」や「地域猫」の活動が浸透し、世の中の変化を感じております。

私自身も「不幸な伴侶動物をなくしたい」という思いによって保護犬・保護猫を迎えたわけですが、経験したからこそ気軽に「新たにお迎えするときは、絶対に保護犬保護猫にしてね!」とは言えないのが個人的な感情です。

この記事では保護犬・保護猫を迎えるということについて、個人の経験談も交えながらご紹介いたします。これから保護犬・保護猫を迎えようか検討されているみなさんのご参考になれば幸いです。

1.我が家の愛犬愛猫たちの経緯について

初めて迎えた愛猫はペットショップ出身のレディさん

初めて猫を迎えたのはハタチの頃。
当時の私は、猫を迎える手段としてペットショップ以外を知りませんでした。
そのため迷うことなくペットショップへ行き、1匹のロシアンブルーの子猫と出会いました。
それが我が家の女王レディさんです。

道で呼び止められそのまま保護した愛猫オム君

レディさんとの暮らしも6年ほどになったころ、茶トラの子猫とばったり出会いました。

スーパーからの帰り道に某紳士服店の前を通り過ぎようとしたとき、室外機のあたりから子猫の声が聞こえたのです。

見てみると、室外機の裏からひょっこり顔を出している子猫がいました。

その子は私の顔をはっきりと見ながら大声で鳴いており、これはバッチリ呼び止められたのだと確信しました。これがオム君との出会いです。

(子猫の時はオムレツのような色とサイズ感だったので、オムと命名。今や小型犬よりも大きいのではないかというビッグオムレツに成長しました)

そこは大通りに面し、車が激しく往来する場所でした。室外機周辺や店舗の周りをチェックしましたが、近くに母猫らしき姿はありません。このままではいつか事故に遭ってしまうかもと不安になり、私は子猫をうちへ迎えることにしました。

保護すべく抱き上げたとき、びっくり仰天したオム君が思わず放尿…

私はオム君を放さないよう集中していたためおしっこをかけられても気にしませんでしたが、今思えば通りすがる人にとっての目には「おしっこ香る必死な形相の猫おばさん」に映っていたことでしょう。いと恐ろし。

迷子で元飼い主が迎えに来なかった愛犬ウーノちゃん

長らく「犬とも暮らしたい」と思っていた我が家。

その日は動物園に遊びに行ったのですが、その近くで「保護犬の譲渡会開催中」という看板を目にしました。

以前から「保護犬」や「譲渡会」というワードはぼんやり知っていましたが、その時に初めて「保護犬という選択肢もあるな」と現実的に考えました。

動物園へ行く前に、譲渡会へ行ってみることに。そこにはたくさんの犬たちが新しい飼い主さんとの出会いを待っており、入場者に対して元気いっぱいの姿を見せていました。

そんな中で1匹だけ、尻尾を振るでもこちらを見るわけでもなくケージの隅っこにぼーっと座る、無気力なミニチュアダックスに目が留まりました。これがウーノちゃんとの出会いです。

譲渡会のスタッフの方に聞くと、その子は道を放浪しているとの通報によって保護され、保健所での期限内に飼い主が迎えに来ず、その保護団体の元へやってきたとのこと。

その経緯を聞いている時、私は怒りと悲しみの感情が湧き上がってきました。

なぜ首輪やマイクロチップを装着させていなかったのか。
なぜ迷子にさせたのか。
なぜ必死に探して迎えに来ないのか。

ウーノは右の眼球が小さく、尻尾は断尾されていました。その姿にもショックを覚えましたが、なにより他の犬たちと違ってウーノは無気力で、私の知る「犬らしさ」が全くありませんでした。このことも「なぜ」に拍車をかけ、私は自然と「この子を迎えたい」と思いました。

知らない人の車のボンネットから救出した愛猫ネロ君

黒猫ネロ君との出会いは特に衝撃的でした。

これまたスーパーの帰り道、コインパーキングを通りがかったとき子猫の声に気が付きました。

1台の車のあたりから声はするのに、姿は見えず…

私は「もしや車内に置き去りにされているのでは」と不安になりましたが、車内にも猫はいません。

ではどこに?

そう、子猫はボンネットの中にいました。

私は免許を取ったことがない絶滅危惧種の大人&車の構造も無知で説明が下手なのですが、時折ボンネットの下あたりに空いている穴から子猫の足がニュ!っと出ていました。(語彙力)

すぐに保護したかったけれど、知らない人の車ですので勝手に触ることができません。

私は迷惑を承知でお巡りさんに相談してみることに。そうすると、すぐにお巡りさんが来て一緒に救出を手伝ってくれました。「猫なんかのことで!」と叱られるかとビクビクしていましたが、偶然にも猫好きのお巡りさんでよかったです。来る途中に猫缶も買ってきてくれたんです。感涙。

お巡りさんとの救出作戦が始まると、通りがかりの人や、子猫が籠城する車の隣に停めていた人も一緒に手伝ってくれて、やっとのことで子猫を救出。あたりはすっかり日も暮れて真っ暗になっていました。

みんなが当たり前のように助けてくれたこの命、私が責任を持って預かろうと決めました。

お巡りさんに手伝っていただいたため、次の日子猫と共に交番へ行き、いわゆる「落とし物を拾いました」の書類を記入しました。日本において伴侶動物は「物」の扱いなのが現状です。

2週間ほど待っても飼い主らしき人が現れなかったので、晴れて我が家の一員となったのです。

2.保護犬保護猫を迎えるときの心得

其の壱:不幸の連鎖を断ち切る「終生飼養」の覚悟

日本の法律の中に「動物の愛護及び管理に関する法律」というものがあります。通称「動物愛護法」と言います。

この動物愛護法は改正から約5年ごとに見直されるのですが、平成25年6月の改正(9月1日から施行)では内容に「終生飼養(しゅうせいしよう)」が明記されました。

動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなくてはならない。

簡単にいうと「その子が天国に旅立つまで責任持ってしっかりお世話をしましょう」ということ。

この改正では罰則も強化され、殺傷・虐待・遺棄の懲役や罰金が2倍に。殺傷は2年以下の懲役または200万円以下の罰金、虐待や遺棄は100万円以下の罰金になりました。

また「虐待」の定義も明確化され、ごはんや飲み水を与えない、病気や怪我への適切な処置がされない、衛生的な環境で飼育しないなど、いわゆる「ネグレクト」も虐待とされるようになりました。

保護犬・保護猫を迎えたいと思う方は、きっと動物を大切にしたい優しい方でしょう。しかし「かわいそう」というだけで迎えてしまうと、現実的に適切な飼育が困難になってしまうかもしれません。

犬や猫は10年以上生きる動物です。一部の鳥には50年近く生きる種もあります。一瞬の「かわいそう」だけで決めるのではなく、その子の寿命まで適切に飼ってあげられるのかを現実的に考える必要があります。

「やっぱり飼えない」と手放すことは、飼育放棄の連鎖に繋がります。「しっかり飼ってあげられないなら飼わない」という選択肢もあります。

其の弐:特性を理解すること

ペットショップやブリーダーから迎えた子であれば、その両親についても把握できます。

しかし、保護犬・保護猫はその子の背景が分からないことが多く、性格や持病などについて迎えた後で気付くこともあるでしょう。
保護以前に適切な飼育がされなかった子の場合、体質が弱っていることもあります。

私の愛犬ウーノも、迎え入れてから実は目が見えなかったことに気が付きました。これは保護団体の方も気が付かなかったことです。そして、ウーノはなぜかスマホカメラのシャッター音にひどく怯え、パニックを起こすことも後々知りました。

ウーノがいた保護団体のスタッフさんは、手や腕に噛み跡と思われる怪我がありました。特に犬の場合は保護以前に適切なしつけトレーニングをしてもらえなかった子もいて、攻撃的になってしまう子もいたようです。

このような子は譲渡前に保護団体さんがトレーニングを行い、安全に飼育できる状態になれなければ譲渡ではなく、保護団体さんで生涯暮らしていくこともあるそうです。

保護犬・保護猫には問題を抱えた子もいます。それを理解し、なおその子の終生飼養が可能かどうかを考える必要があります。

其の参:大きな出費に耐えられるよう備えること

ウーノは体質が弱く、我が家にやってきた後の約2年は通院治療の日々でした。口内環境も最悪で、歯周病によって歯を半数以上抜く手術も行いました。

ウーノは年齢もわからないのですが、獣医さんはその見た目から「少なくとも7歳以上、10歳程度である」と推定してくれました。当時その年齢から入れるペット保険は少なく、入れたとしてもすでにかかっている病気には対応できないことが多いでしょう。

人の医療費と違って、ペットの医療費は全額自己負担です。ウーノの通院治療費は月に10万円以上することもあり、入院手術となると30万円程度は覚悟しておかなくてはいけません。

現実問題、ペットの飼育にはお金がかかります。いきなりドカンと出ていくこともありますので、ペットを適切に飼育するための費用についてもしっかり備えておく必要があります。ペット保険に加入できれば、突然の大きな出費にも備えることができます。

もちろん、たとえペットショップから迎えた子であっても、病気や怪我で大きな出費がかかることもあります。保護犬・保護猫の場合はその子の背景が分からないことが多いため、よりしっかり備えておくことをおすすめします。

3.まとめ:深い懐と愛情でいのちを迎えよう

我が家の保護犬保護猫たちの中で、特に愛犬ウーノを迎え入れてから約2年間は、ウーノの健康状態とかかる医療費のことで毎日心配な日々を過ごしていました。
保護犬・保護猫を迎え入れてほしいと願いつつも、その大変さを知った私は「保護犬・保護猫を迎えてね♪」と気軽には言えません。
しかし、それでも迎えたいと思える方、どんなことがあっても努力できる方こそ、保護犬・保護猫たちにとって幸せな飼い主さんなのではないかと思います。
適切な飼養について考えれば、我が家はこれ以上の迎え入れが難しいでしょう。
しかし、今現在も新しい飼い主さんと新しい生活を待つ保護犬・保護猫たちがたくさんいます。
どうか全ての子が飼い主さんと出会えますようにと、願わずにはいられません。
迎え入れはできませんが、今後はフードや募金などでささやかに応援していきたいと思っています。

chii

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ライター・犬猫と人のお悩み相談役。飼い主さまのお悩みに寄り添う記事執筆|愛犬愛猫の暮らしにまつわるお悩み相談|猫タロットを用いた人のお悩み相談|保護犬保護猫...

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